「天皇の永続」という観念はいかにして生まれたのか。「永続してほしい」、「永続しなければならない」という希求や願望はいかに維持されてきたのか。明治、大正、昭和を生きた人物や、実施された制度を中心に、古代をも視野に入れて、天皇の永続に繋がりうる事象を探求。さらには、「永く続くためには、どうしたらよいか」という具体論や政策論までをも考究する。(弘文堂紹介記事より)
著者は、日本という国と民族が、天皇制度を通じて国家社会の理想を追求するという世界でも類例を見ない形を持っていると考え、皇統が古代より続いていることあるいは、天皇と国民が一体となり、あるべき社会の実現に向け努力する歴史があることなど、天皇制度が一つの筋として存在していると話し、これを「古より今へのしなやかな糸」と表現している。そこにはフレキシブルな中に強靭さも併せ持つ、これこそが連綿と続いてきた一つでもあり、この「しなやかな糸」が永続してほしい、すべきだと考えている。(月刊 『日本』著者に聞くより要約)
序 章 本研究の目的・方策と、「天皇の永続」の基礎的考察
第一章 古代より近現代までの大祓詞・大祓式変遷の軌跡
第二章 明治二十二年の陵墓治定と、足立正聲の天皇・皇室観
第三章 明治から昭和前期の山口鋭之助の事績と皇室・国体観
第四章 血統永続装置としての皇室制度
第五章 田中治吾平の天皇観・神道観と大祓詞排撃論
第六章 上杉愼吉の系譜からみる天野辰夫の皇道・国体論
第七章 葦津珍彦の「明津御神」観と天皇祭り主論
第八章 昭和二十一年元旦詔書に観る「天皇の永続」
終 章 本研究の特質・課題と、「天皇の永続」の今後
なお、本書は、一般書籍として弘文堂より販売されています。(本体5200円+税)