さる9月4日に機関誌『神道文化』第20・21合併号掲載予定の座談会「生命倫理と神道文化」が東京大神宮にて行われました。
内容は来年春掲載の予定ですが、座談会の開催の趣旨は以下の通りです。
尚、座談会は二本立ての予定で、明年1月にも「旅と神道文化(仮称)」を開催予定です。
出席者 島 薗 進 東京大学大学院教授
薗 田 稔 京都大学名誉教授
今 岡 達 雄 浄土宗総合研究所主任研究員
小 林 威 朗 國學院大學大学院(久伊豆神社権禰宜)
唐 澤 太 輔 早稲田大学大学院
井 澤 正 裕 (司会:神社本庁総合研究部長)
松 本 久 史 (國學院大學研究開発推進機構専任講師)
[開催の趣旨]
近年、医療科学の格段な進歩によって、尊厳死問題や脳死判定問題、臓器移植問題、さらには葬送の変化、あるいはクローン問題や人工授精、代理母出産や赤ちゃんポストなど、「いのち」の尊厳性や死者に対する慰霊、供養観を問う問題も含め、いわゆる生命倫理に関わる問題が社会の変化とともに問われている。
その一方で我が国では、昨今の種々の報道でも日々耳目するように大人や青少年を問わず、親が子を殺めたり、子が親を殺めるといった事件が多発している。また繁華街などでの無差別殺人事件などでは、「殺すのは誰でもよかった」などと逮捕された加害者が証言するなど、凄惨たる殺人事件などが多発している状況にあり、「いのち」の重さが我が国の人々のなかで軽んじられているのではないかと思われるような傾向があり、そうした事件が日常茶飯事化するなど社会問題化しており、このことは単なる犯罪心理や社会構造の問題だけでは明らかにできない問題であるともいわれている。
そのような現状の中にあって、財団法人神道文化会では、創立六十周年記念事業の一環として、大学生、大学院生を対象とした「神道と生命倫理」に関する懸賞論文を公募し、平成19年6月に締め切られたのち、その審査・表彰式が平成19年の8月、10月にそれぞれ実施された。
そこで、今回『神道文化』20・21号に掲載する恒例の座談会では、「生命倫理と神道を考える」と題して、今回の懸賞論文の審査にも携わった島薗進、薗田稔両氏に加え、仏教側から浄土宗総合研究所において生命倫理問題の研究プロジェクトに携わった今岡達雄氏、また懸賞論文の入賞者でもある小林威朗、唐沢太輔両氏の5名によって神道と生命倫理の問題について座談戴く。さらに司会として、生命倫理問題の研究に取り組んできた井澤正裕氏にご担当戴き、懸賞論文および過去の論考を収録した『神道と生命倫理』においてご寄稿いただいた松本久史氏にもオブザーバーとして議論に加わっていただくことで、神道と生命倫理との接点について議論を深めてみたい。