神道文化叢書第47輯『「八紘一宇」の社会思想史的研究』黒岩昭彦著

八紘一宇は第二次世界大戦時の日本の海外進出を正当化する標語だったと通説化しています。しかし、日蓮主義者の田中智学によって造語されたこの用語は、宗教家だけでなく軍部や政治家、左右の知識人、新官僚などに影響を与え、さまざまに解釈されさまざまな運動や行動を生み、革新的であり時に保守的でもありました。戦前戦中、社会思想史上かつてない影響を与えた用語「八紘一宇」の全体像の解明を目指して、通説にとらわれず実証的に探究した初めての通史的研究です。(弘文堂紹介記事より)

 目次

序章 本研究の目的と論構成

第1編 「八紘一宇」の展開

1章 「八紘一宇」具象化―八聖殿から八紘之基柱へ―
2章 八紘一宇と二・二六事件―道義性と政治性の分岐点―
3章 「八紘一宇」の「国是 」をめぐる一考察―帝国議会の審議経過を中心に―
4章 八紘一宇から八紘為宇へ―文部省・教学局・国民精神文化研究所の「転換」―
5章 戦後史のなかの「八紘一宇」

第2編 「八紘一宇」と地域主義

1章 「八紘之基柱」建設の主体性にみる地域主義
2章 「八紘之基柱」と相川勝六―内務官僚の敬神観―
3章 「八紘之基柱」と田中智学―皇宮神社の顕彰と日蓮主義―
4章 占領下の八紘之基柱―「神道指令」と「八紘一宇」の護持―
5章 「八紘一宇碑」にみる地域成・多様性

終章 本書の成果と課題