神道文化叢書第46輯『宮座儀礼と「特殊神饌」奈良県北・中部及び周辺地域を中心に』吉川雅章著

「宮座」と呼ばれる神社と関係の深い組織・集団が、通常の神社祭典では見られない特別に調理した神饌「特殊神饌」を供し、祭典誤の直会で人々が食する伝統がある。この神饌に焦点を当て、その伝統が地域でどのように維持継承それているのか、またその品目や備え方にどの特色はどのようなものか、40年わたる現地調査をもとに示すとともに、それぞれの変遷や地域ごとの相違と共通点を明らかにし、宮座の神饌から浮かび上がる神道文化を考察する。(弘文堂紹介記事より)
 
神に物を供える神饌。その準備を担うのは神社の神職や職員、氏子、崇敬者だけではなく、「宮座」と呼ばれる神社と関係の深い組織・集団が、特別な神饌を用意する事例もある。

近畿地方は他地方と比較し宮座が数多く存在する。その中から奈良県を中心に実施した調査をもとに神饌の特色を取り上げ考察する。

神饌は、調理した熟饌と生のままの生饌に分けられる。明治時代、神饌は原則的に生饌とするよう統一される一方、各地方で特別な事情のある神社では、古来の祭祀や行事が認められた。そのような特殊神事で供えられる神饌は「特殊神饌」と呼ばれる。

各神社の祭礼の概要、神饌を準備する過程、素材や調理方法を写真と共に解説。さらに品目や調理方法、供え方から特殊神饌の特色や共通点を探る。(中外日報紹介記事より抜粋)

 目次

第一章 宮座に伝わる「特殊神饌」の諸相

第二章 宮座における「特殊神饌」の位置

第三章 品目・調理・供え方に見る「特殊神饌」の特色

第四章 儀礼の場における「直会」と「儀式善」

終 章 ―まとめと今後の研究課題―