本叢書の装丁を新たにしてから早くも4冊目となる第40輯『三条教則と教育勅語―宗教者の世俗倫理へのアプローチ』を平成27年6月30日に刊行致しました。
三条教則は明治5年に教部省から、当時国民教化に従事していた教導職に対して布達された、「敬神愛国・天理人道・皇上奉戴朝旨遵守」の三条からなる国民教化活動の指針です。また、教育勅語は、明治23年に渙発された明治天皇の「お言葉」として、渙発以降、国民教育の指針とされてきたもので、本書は、この三条教則と教育勅語というふたつの世俗倫理に対する衍義書(解説書及び解釈書)の研究書です。筆者は、この分野の第一人者で『教育勅語関係資料』『三条教則衍義書資料集』の編纂に従事するなどの経歴をもち、永年に亘る研究成果を神道文化叢書として刊行しました。
【内容】
第一編 三条教則と仏教僧―仏教僧の三条教則衍義書―
第1章 教部省設置前における神道と仏教の相克
第2章 仏教僧の三条教則衍義書をめぐって
第3章 仏教僧による天神造化説批判
第二編 教育勅語と仏教僧―真宗僧の教育勅語衍義書―
第1章 多田賢住および赤松連城、第2章 東陽園月、第3章太田教尊、第4章寺田福寿、第5章土岐善静以上の教育勅語衍義書をめぐって論じ、補章として真宗僧による教育勅語衍義書の諸類型を示している。
第三編 教育勅語と宗教者―石門心学者とキリスト者の教育勅語衍義書―
第1章 明治期の石門心学の動向
第2章 石門心学者川尻宝岑の教育勅語衍義書をめぐって
第3章 キリスト者で唯一の教育勅語衍義書をめぐって
以上の三編からなる。
一般書籍として弘文堂より販売されています。(本体5,000円+税)