戸浪裕之著。平成25年7月15日刊。
維新政府は「敬神愛国」「天理人道」「皇上奉戴・朝旨遵守」の意義を国民に啓蒙する「大教宣布運動」を展開しました。この運動の中心を担ったのが、明治5年に設置された教導職です。教導職は神職・僧侶合同で開始しましたがそのあり方について議論となり、政府の方針は「政教分離」「祭教分離」へと進み、明治17年には教導職制度そのものが終焉します。極めて短期間の制度でしたが、その過程で「神社神道」と「教派神道」が区別され、皇典講究所・神宮皇學館の創立の契機となる等、近代神道史・宗教史を語る上で欠くことのできないものです。教導職については既に多くの研究業績が積み重ねられていますが、未だ不明な点も多く残されています。著者は本書に於いて教導職の制度やその理念・思想、制度を担う神官僧侶(主に真宗)双方の動向について史料に基づき考察し、更なる実態解明を目指しています。
一般販売は弘文堂より定価4,800円にて販売しています。
神社新報(平成25年9月23日号)に書評が掲載されています。