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神道文化会設立70周年記念事業報告書

本会は、神道文化の普及昂揚を目指し昭和22年9月に発足以来 5年ごとに当初目的の貫徹を期して周年事業を実施してきた。平成29年9月13日には、設立70年を迎え70周年記念事業を下記の通り計画し実施した。

(1)『明治維新神道百年史』の復刻、出版

平成30年は、明治維新より数えて150年であるが、本会では、51年前に明治維100年を記念して『明治維新神道百年史』5巻を刊行した。本書は、当時の神道関係研究者の粋を集めたもので、本会刊行物を代表する論文集であり、今なお対外の評価を得ている貴重な書籍である。絶版となった今、本会では、設立70周年にあたり、奇しくも本年は明治維新150年となるのを記念し、今一度この名著を復刻し、その存在を世に知らしめるべく出版した。従来の箱入・上製本ではなく、並製・ソフトカバーとし、表紙も装丁も新たに読みやすい体裁のものとして復刻。全5巻を納め1セットして刊行した。平成30年5月25日刊行。

尚、良書普及事業の一環として、本書1セットを全国主要図書館389ケ所に寄贈。1,000部を刊行し、関係者(賛助会員、役員等)に配布。

(2)「明治維新150年記念近現代神道史」懸賞論文を募集

上記の『明治維新神道百年史』出版より50年が経過した現在、社会状況は大きく様変わりし、当然ながら近代神道史にかかる研究も進展した。当該分野を専門とする研究者も増えることで研究分野、領域は広がりをみせている。これらを踏まえ、本会では設立70周年を記念し、上記書籍の復刻出版とともに、今後の神社神道のあり方、神社、神職の進むべき方向を考える上で、我が国の喫緊の課題でもある過疎化社会、少子高齢化社会にあって、神社界あるいは神社神道としての考え方を求められる問題のヒントを探すべく、特に近現代にかかる神道史をテーマに設定し、懸賞論文を募集した。

1、募集期間

平成29年11月1日から平成30年5月30日まで

1、応募数

12点。

1、第一次審査

平成30年7月24日(火)午後2時 於・神社本庁

出席者 松山文彦、佐野和史、阪本是丸、今井 達、浅山雅司 他事務局

欠席者 櫻井治男、藤本頼生

予め70周年事業委員あてに上記12点の論文の評価を依頼し、本第一次審査において6点を候補作品として選定した。そののち論文審査委員7名に事前審査を依頼。

1、論文審査会の開催

日時 平成30年9月25日(火)午後4時

場所 國學院大學若木タワー 神道文化学部長室

出席者 審査委員 (敬称略・順不同)

    松山文彦 東京大神宮宮司、本会専務理事(審査委員長)
    西村 明 東京大学大学院人文社会系研究科准教授
    武田秀章 國學院大學教授・神道文化学部長
    阪本是丸 國學院大學教授・本会理事
    櫻井治男 皇學館大学特別教授・本会理事
    藤本頼生 國學院大學准教授 (本会設立七十周年事業委員)

事務局 岡市仁志 神社本庁主事・本会事務局長
    阪本和子 本会書記

欠席者 谷川 穣 京都大学大学院文学研究科准教授
    佐野和史 瀬戸神社宮司・本会常務理事

審査

(1)審査内容

①審査対象件数  6件

新田恵三氏(皇學館大学文学研究科神道学専攻博士課程前期課程2年)23歳
木村悠之介氏(東京大学大学院人文社会系研究科修士課程1年)22歳
大番彩香氏(國學院大學大学院文学研究科神道学・宗教学専攻博士課程後期2年)27歳
半田竜介氏(國學院大學研究開発推進機構ポスドク研究員)30歳
河村忠伸氏(秋葉山本宮秋葉神社禰宜)37歳
中村 聡氏 (星川杉山神社権禰宜)41歳

②表彰及び賞金の決定

特選(論文を機関誌『神道文化』31号に掲載予定 賞金30万円)1名
入選(論文を機関誌『神道文化』32号に掲載予定 賞金 5万円)5名
佳作(記念品として『明治維新神道百年史』全五巻1セットを贈呈)若干名

(2)審査資料

判定票(無記入)
評価票一覧 (谷川、西村、事業委員)
記念論文執筆者一覧
判定票(谷川氏記入・6枚)(西村氏記入・6枚)

審査結果

【特選】

①木村悠之介氏「明治後期における神道改革の潮流とその行方 ―教派神道と『日本主義』から「国家神道」へ」
②中村 聡氏「神道人川口常文の行実 ―結城神社修繕昇格運動と先人顕彰活動を中心に」

【入選】

①新田惠三氏「神道行法禊祓行の教学的背景について」
②大番彩香「明治初期の神葬祭式をめぐる問題」
③半田竜介「自由民権運動と国学者・神職 ―丸山作楽『明治日報』を通じて―」
④河村忠伸「近現代神道の教学的課題」

以上6名

1、表彰式の開催

日 時 平成30年12月6日(木)午後3時
場 所 東京大神宮マツヤサロン
出席者 披表彰者6名及び松山文彦専務理事、浅山雅司理事、藤本頼生理事、神道文化会事務局3名

1、表彰状及び賞品の授与

特選入賞者 各15万円を支給
入選入賞者 各5万円を支給

合計額50万円。

(3)記念式典の開催

日 時 平成30年5月25日(木)午後4時30分から
場 所 東京大神宮

内 容

午後4時30分 神道文化会関係物故者慰霊祭斎行 約45名参列
午後5時10分 記念式典開催 約65名出席
午後6時   記念祝賀会開催 約85名出席

以上

※なお、式典会場にて、平成29年度表彰式、神道芸能普及費伝達式が執り行われた。

(4)DVDの作成

助成金事業のひとつである神道芸能普及費の支給も30年目を迎え、昨年11月に受給の団体(対象60件)に対し追跡調査を行い、その活動状況を報告書に纏め、提出を依頼し28件の回答があった。それら活動内容(写真、DVD等)をDVDに作成し、関係者及び70周年賛助金奉納者に配布した。(「神道芸能」と題したDVD)

(5)『昭和の御大典』(保存版)の作成

平成29度の復刻版『明治維新神道百年史』の出版に続き、御代替りを寿ぎ『昭和の御大典』(昭和53年刊) の保存版(オンデマンド・並製)100部の作成、5月に刊行。令和元年9月に関係者に配布予定。この出版をもって、設立七十周年記念事業は無事完了となった。

(6)その他

本会設立70周年を振り返り、下記の通り対談を開催。

日 時 平成30年3月19日(月)

場 所 國學院大學渋谷キャンパス

出席者

(語り手) 阪本是丸氏 (國學院大學教授・本会理事)
(聞き手) 藤本頼生氏 (國學院大學准教授)

テーマ 「これまでの神道文化会、これからの神道文化会」

なお、この対談は、神道文化30号に掲載され、付録として、神道文化会70年の年表が添えられている。

以上