神道文化叢書第49輯『神道の喪葬儀礼と近代』塩川彩香著
伝統や固有性に重きを置いていた神葬祭や大葬儀をめぐる従前の言説に一石を投じ、実際ハム―明治維新後の激しい社会変動に対応して十何に変容していた実態を大一字資料など種々の史料を用いて明らかにしています。巻末に50余頁に及ぶきわめて詳細な関連事項年表が付されています。
目次
序 章 神道葬儀礼研究の現状と課題
第Ⅰ部 神葬祭の形成と展開
第一章 『葬祭略式』制定と「喪主」
第二章 国民教化運動し「斎主」
第三章 神葬祭執行の実態
第Ⅱ部 近代大争議の成立過程
第四章 天皇による奏場への臨御
第五章 「皇室喪儀令」の附式と古儀
第六章 近代大喪儀の再編と成立
終 章 本書の成果と課題
関連事項年表
※なお、本書は一般書籍として、弘文堂より販売しております。(本体5000円+税)
神道文化叢書第48輯『伊勢御師と宇治山田の学問』窪寺恭秀著
伊勢御師とは伊勢神宮における私的な祈祷を担い、神宮の御祓大麻を各地に届け、各地の参詣人を神宮に案内し、宿を提供するなどの活動をした人々です。第一編ではあらゆる文献を博捜して全国的に活動していた御師の実像を詳らかにします。
一方で神宮では、宇治と山田に所在する内宮・外宮それぞれに文庫を設けて祠官の学問の進展と継承に努めていました。第二編では神宮所蔵の古典籍を探求して神宮での学問の交流と近代への継承を詳述しています。
目次
第一編 伊勢御師の機能と展開
第一章 中世後期の伊勢御師の機能と展開
第二章 中世後期における伊勢御師三方家の存在形態(上)
第三章 中世後期における伊勢御師三方家の存在形態(中)
第四章 中世後期における伊勢御師三方家の存在形態(下)
第五章 伊勢御師と在地の関係性について
補 論 宇治橋の歴史について
第二編 宇治山田における学問の興隆とその継承
第一章 近世宇治山田の学問的形成
第二章 神宮の古典籍
第三章 神宮文庫の設立と神宮の編纂事業
※なお、本書は一般書籍として、弘文堂より販売しております。(本体5000円+税)
神道文化叢書第47輯『「八紘一宇」の社会思想史的研究』黒岩昭彦著
八紘一宇は第二次世界大戦時の日本の海外進出を正当化する標語だったと通説化しています。しかし、日蓮主義者の田中智学によって造語されたこの用語は、宗教家だけでなく軍部や政治家、左右の知識人、新官僚などに影響を与え、さまざまに解釈されさまざまな運動や行動を生み、革新的であり時に保守的でもありました。戦前戦中、社会思想史上かつてない影響を与えた用語「八紘一宇」の全体像の解明を目指して、通説にとらわれず実証的に探究した初めての通史的研究です。(弘文堂紹介記事より)
目次
序章 本研究の目的と論構成
第1編 「八紘一宇」の展開
1章 「八紘一宇」具象化―八聖殿から八紘之基柱へ―
2章 八紘一宇と二・二六事件―道義性と政治性の分岐点―
3章 「八紘一宇」の「国是 」をめぐる一考察―帝国議会の審議経過を中心に―
4章 八紘一宇から八紘為宇へ―文部省・教学局・国民精神文化研究所の「転換」―
5章 戦後史のなかの「八紘一宇」
第2編 「八紘一宇」と地域主義
1章 「八紘之基柱」建設の主体性にみる地域主義
2章 「八紘之基柱」と相川勝六―内務官僚の敬神観―
3章 「八紘之基柱」と田中智学―皇宮神社の顕彰と日蓮主義―
4章 占領下の八紘之基柱―「神道指令」と「八紘一宇」の護持―
5章 「八紘一宇碑」にみる地域成・多様性
終章 本書の成果と課題
神道文化叢書第46輯『宮座儀礼と「特殊神饌」奈良県北・中部及び周辺地域を中心に』吉川雅章著
「宮座」と呼ばれる神社と関係の深い組織・集団が、通常の神社祭典では見られない特別に調理した神饌「特殊神饌」を供し、祭典誤の直会で人々が食する伝統がある。この神饌に焦点を当て、その伝統が地域でどのように維持継承それているのか、またその品目や備え方にどの特色はどのようなものか、40年わたる現地調査をもとに示すとともに、それぞれの変遷や地域ごとの相違と共通点を明らかにし、宮座の神饌から浮かび上がる神道文化を考察する。(弘文堂紹介記事より)
神に物を供える神饌。その準備を担うのは神社の神職や職員、氏子、崇敬者だけではなく、「宮座」と呼ばれる神社と関係の深い組織・集団が、特別な神饌を用意する事例もある。
近畿地方は他地方と比較し宮座が数多く存在する。その中から奈良県を中心に実施した調査をもとに神饌の特色を取り上げ考察する。
神饌は、調理した熟饌と生のままの生饌に分けられる。明治時代、神饌は原則的に生饌とするよう統一される一方、各地方で特別な事情のある神社では、古来の祭祀や行事が認められた。そのような特殊神事で供えられる神饌は「特殊神饌」と呼ばれる。
各神社の祭礼の概要、神饌を準備する過程、素材や調理方法を写真と共に解説。さらに品目や調理方法、供え方から特殊神饌の特色や共通点を探る。(中外日報紹介記事より抜粋)
目次
第一章 宮座に伝わる「特殊神饌」の諸相
第二章 宮座における「特殊神饌」の位置
第三章 品目・調理・供え方に見る「特殊神饌」の特色
第四章 儀礼の場における「直会」と「儀式善」
終 章 ―まとめと今後の研究課題―
神道文化叢書第45輯『「天皇」永続の研究 近現代における国体観と皇室論』東郷茂彦著
「天皇の永続」という観念はいかにして生まれたのか。「永続してほしい」、「永続しなければならない」という希求や願望はいかに維持されてきたのか。明治、大正、昭和を生きた人物や、実施された制度を中心に、古代をも視野に入れて、天皇の永続に繋がりうる事象を探求。さらには、「永く続くためには、どうしたらよいか」という具体論や政策論までをも考究する。(弘文堂紹介記事より)
著者は、日本という国と民族が、天皇制度を通じて国家社会の理想を追求するという世界でも類例を見ない形を持っていると考え、皇統が古代より続いていることあるいは、天皇と国民が一体となり、あるべき社会の実現に向け努力する歴史があることなど、天皇制度が一つの筋として存在していると話し、これを「古より今へのしなやかな糸」と表現している。そこにはフレキシブルな中に強靭さも併せ持つ、これこそが連綿と続いてきた一つでもあり、この「しなやかな糸」が永続してほしい、すべきだと考えている。(月刊 『日本』著者に聞くより要約)
序 章 本研究の目的・方策と、「天皇の永続」の基礎的考察
第一章 古代より近現代までの大祓詞・大祓式変遷の軌跡
第二章 明治二十二年の陵墓治定と、足立正聲の天皇・皇室観
第三章 明治から昭和前期の山口鋭之助の事績と皇室・国体観
第四章 血統永続装置としての皇室制度
第五章 田中治吾平の天皇観・神道観と大祓詞排撃論
第六章 上杉愼吉の系譜からみる天野辰夫の皇道・国体論
第七章 葦津珍彦の「明津御神」観と天皇祭り主論
第八章 昭和二十一年元旦詔書に観る「天皇の永続」
終 章 本研究の特質・課題と、「天皇の永続」の今後
なお、本書は、一般書籍として弘文堂より販売されています。(本体5200円+税)
神道文化叢書第44輯『伊勢神宮と仏教 -習合と隔離の八百年史―』多田實道著
「皇祖神を祀る伊勢神宮は、厳しく定められた神仏隔離が古来より守られてきたと思われがちです。しかし、そうした先入観を捨て、虚心に史料と向き合い、徹底した分析によって、奈良時代から神宮史の断層とみられる戦国時代まで、800年間の神宮の驚くべき実態を見事に解明した注目の研究。」 (弘文堂紹介記事)
「伊勢神宮と仏教については、戦後の神道史研究の中でも等閑視され、立ち遅れてきた分野であるが、中世史を専門とする著者はこの問題に真正面から向き合い、関係史料を博捜して虚心坦懐に読み解き、奈良時代から戦国時代にいたるまで800年にも及ぶ伊勢神宮と仏教の関係を歴史学の立場から究明」(令和元年8月26日神社新報・読書欄掲載より抜粋)
目次
第一章 奈良~平安時代の神宮と仏教
一 伊勢大神宮寺について
二 伊勢蓮台寺の創建と内宮本地説の成立
三 「大神宮祢宜延平日記」について
第二章 鎌倉時代の神宮と仏教
一 俊乗房重源の参宮
二 俊乗房重源と内宮一祢宜荒木田成長
三 内宮祠官荒木田氏による神道説の形成
四 伊勢神道と戒律
五 鎌倉時代の神宮法楽寺院―伊勢大神宮寺の中世的変容―
第三章 南北朝~戦国時代の神宮と仏教
一 南北朝~室町時代初期の神宮法楽寺院
二 伊勢朝熊山金剛證寺について
三 内宮建国寺について
四 室町時代の神宮と仏教
五 戦国時代の神宮と仏教
六 内宮の法楽寺院支配
附 論 江戸時代初期の神宮法楽寺院
神道文化叢書第43輯 『神をまつる神社建築 玉殿の起源と発展』 山田岳晴著の刊行
玉殿とは、神社の本殿内にある本殿型の小建築で神体を奉安するもの。その発生は、平安後期と推定され、現存の中世玉殿は安芸国(広島県)に集中しています。広島県内を中心とした中世玉殿の実施調査と、古文書からの玉殿の復元を行い、その起源と発展および建築史的特質を明らかにする神道史と建築史を架橋する画期的研究。
目次
序 章 神社建築の概要
第一章 現存する中世玉殿の事例調査
第二章 中世玉殿の屋根構造
第三章 中世玉殿の一木造出技法
第四章 中世玉殿に見られる地方色
第五章 厳島神社玉殿の復元
第六章 出雲大社内殿の復元
終 章 玉殿の特質
付 録 神社建築用語の解説
なお、本書は一般書籍として弘文堂より販売されています。(本体5000円+税)
神道文化叢書第42輯 『近現代神道の法制的研究』 河村忠伸著の刊行
本書の帯には、「近現代神道史に確かな礎を築く 神社に関する法制度・行政の変遷を実証的に考究。 未開拓の分野に果敢に挑んだ貴重な成果。」と謳われています。
本書は、一般の人が手に取るには、「法制的研究」というだけで敬遠されるかもしれません。
しかし、手に取り、じっくりと読み進めていくと、新進気鋭の近現代を主とする神道史の研究者としての一面、また日々神明奉仕に身を置く神職としての一面からの著者視点で、まさにこの書を著したことに気付かされます。未開拓とされる分野に挑んだ著者の熱意を感じるためにも、一章ずつ、近代神社史を繙くように、或いは著者の神社へのまなざしを感じながらお読みください。
目次
序章 近現代神道史における法制度の重要性
一 はじめに
二 神道史における近代と現代の歴史的区分
三 神社の明治維新
四 制度研究の重要性
五 「国家神道」に関する問題
六 法制研究の課題
七 本書の構成
八 おわりに
第一編 国家の宗祀と公認神社
第一章 神社行政における「国家ノ宗祀」
一 はじめに
二 神社の国家管理に関する制度
三 神職任用に関する制度
四 奉務規則
五 敬神思想の普及
六 神社制度調査会と神社経済
七 神社整理から見る行政の神社観
八 「神社の本質」問題
九 神祇院の発足
十 おわりに
第二章 御祭神に関する神社制度―別格官幣社配祀神 殉難戦没之将士を例として―
一 はじめに
二 公認神社の誕生
三 御祭神に関する神社制度
四 「帝国の神祇」の範囲
五 配祀神の定義
六 別格官幣社藤島神社列格まで
七 藤島神社の列格
八 名和神社・菊池神社の列格と配祀神
九 「殉難戦没之将士」の範囲と配祀神の取扱
十 おわりに
第三章 神社整理と無格社の法的性質及び実態
一 はじめに
二 神社整理に関する法令
三 神社整理の目的と基準
四 無格社発生の背景と法的性質
五 無格社に対する恩典の差
六 昭和期における無格社及び非公認神社の実態について
七 明治末期における無格社の実態
八 神祇院の「無格社整備ニ関スル要綱」の特色
九 おわりに
第四章 私祭神祠の法的性質
一 はじめに
二 公認神社の発生
三 非公認神社
四 「私祭神祠」の条件と神社類似施設
五 神社制度調査会と無格社整理
六 神祇院による「私祭神祠」の方針転換
七 私祭神祠等の取締
八 おわりに
第五章 補論 邸内社の法的性質―現代の政教問題を論じる上での近代神社行政研究の意義―
一 はじめに
二 邸内社の慣習
三 近世における邸内社の管理
四 近代における邸内社の管理
五 神社行政概説書から見る邸内社の行政上の取り扱い
六 公認神社に非ざる祭祀施設
七 現在における邸内社の判断基準
八 現行法上における邸内社の性格
九 おわりに
第二編 鎮守の森の近代化
第六章 近代神社境内地の形成―上知令・山林・租税・公園―
一 はじめに
二 上知令と地租改正
三 境内地の管理と租税
四 鎮守の森の官有地化
五 風致林野と神体山
六 神社公園の発生
七 神社公園の問題
八 おわりに
第七章 上地事業における境内外区別
一 はじめに
二 先行研究
三 上知令の発令とその背景
四 上知令直後の境内外区別
五 地種の整備
六 地租改正中の境内外区別
七 京都府における実例
八 おわりに
第八章 神社境内の公園的性格
一 はじめに
二 太政官公園の成立と神社境内
三 神社境内の公園化
四 神社林と神苑
五 おわりに
第九章 東京府における太政官公園と神社公園の成立
一 はじめに
二 いわゆる太政官公園について
三 公園制度発足以前
四 東京府における公園設置方針
五 東京府の公園維持運営法
六 おわりに
第十章 近代神社林制度の変遷
一 はじめに
二 明治初期(上地事業)
三 風致林野
四 境内地跡地の処分
五 明治神宮御造営の影響
六 昭和期の神社行政における神社林観の変化
七 おわりに
第十一章 神体山の制度的沿革―「神体林」の神道史上の意義について―
一 はじめに
二 上地事業の経緯と神体山
三 事例(一)大神神社
四 事例(二)諏訪大社
五 事例(三)松尾大社・伏見稲荷大社
六 事例(四)金鑽神社
七 上地事業に於ける「神体山」の判定基準
八 「神体山」に関する研究の深化
九 「神体林」
十 神体山に対する特例措置(秋葉山の事例)
十一 おわりに
終 章 近現代神道史研究の課題と展望
一 はじめに
二 「国家ノ宗祀」の研究と課題
三 神社明細帳
四 神社経済と運営護持
五 私祭神祠の問題
六 近代的神職
七 近代境内の形成
八 神社林をめぐる議論
九 神社の公共性
十 神道教学上の検討課題
十一 おわり
以上
なお、本書は一般書籍として弘文堂より販売されています。(本体5000円+税)
神道文化叢書第41輯『千古の流れ 近世神宮考証学』吉川竜実著の刊行
20年に1度行われる伊勢神宮の式年遷宮は、戦国時代の120年以上に及ぶ中断や幾度かの延期などはあったものの平成25年の第62回まで、およそ1300年にわたって続き、現代でも遷宮年に限らず神宮には毎年800万人前後の参拝者が訪れます。このような興隆は、近世神宮考証学の基礎を築いた江戸時代後期の中川経雅、それを大成した幕末から明治に生きた御巫清直によってもたらされたものといえます。本書は、現在神宮権禰宜で、祭儀部儀式課長兼考証課長、神宝装束課長兼教学課主任研究員である著者が、神宮奉職の傍ら、経雅の『大神宮儀式解』『慈裔真語』、清直の『神朝尚史』『御饌殿事類鈔』などの著作を詳細に分析し、内宮と外宮の巨人の事蹟と思想の背景を丹念に考究した500ページに及ぶ大作です。
【目次内容】
序文
第一編 近世神宮考証学成立の過程(総論)―神宮古典系譜図についてー
『神宮古典系譜図』
一、はじめに 二、古代(神代~平安) 三、中世(鎌倉~室町) 四、近世・近代(安土桃山~明治)五、おわりに
第二編 中川経雅の儀式研究
第一章 経雅の『大神宮儀式解』執筆
一、 はじめに 二、中川経雅について 三、『儀式解』の執筆と神宮考証学の樹立
四、『儀式解』の特徴と本居宣長の『古事記傳』の影響 五、おわりに
第二章 経雅著『慈裔真語』について
一、はじめに 二、『慈裔真語』の成立と執筆の動機 三、『慈裔真語』の内容構成と分類 四、『慈裔真語』の執筆理念と儒学 五、おわりに
第三編 御巫清直の研究
第一章 清直の神宮観―神朝廷論を中心として―
一、 はじめに 二、御巫清直について 三、清直の神朝廷論 四、清直の皇大神宮相
殿神論と職掌人(内人・物忌)考 五、清直の神嘗祭観 六、清直の外宮(トツミヤ)思考と豊受大御神の御霊実観 七、おわりに
第二章 清直著『神朝尚史』の研究
一、はじめに 二、『神朝尚史』の構成と内容 三、『歸正鈔』執筆の考証理念と『神朝尚史』の編纂 四、第五十六回式年遷宮と清直の神宮考証学における『神朝尚史』の位置 五、『神朝尚史』の成立と平田篤胤の『古史成文』の影響 六、おわりに
第三章 神宮常典御饌考―清直著『御饌殿事類鈔』を通して―
一、はじめに 二、外宮の御鎮座と御饌殿 三、御饌殿の殿舎および神座(装束)と常典
御饌の神饌 四、常典御饌の行事次第と総御饌 五、常典御饌の意義 六、おわりに
補論 御巫清直考証神宮神事絵画について
一、 齋内親王参宮圖 二、皇大神宮神嘗祭舊式祭典圖(奉幣之儀) 三、皇大神宮舊式
遷御圖
あとがき
以上
なお、本書は一般書籍として弘文堂より販売されています。(本体7500円+税)
神道文化叢書第40輯『三条教則と教育勅語』三宅守常著を刊行。
本叢書の装丁を新たにしてから早くも4冊目となる第40輯『三条教則と教育勅語―宗教者の世俗倫理へのアプローチ』を平成27年6月30日に刊行致しました。
三条教則は明治5年に教部省から、当時国民教化に従事していた教導職に対して布達された、「敬神愛国・天理人道・皇上奉戴朝旨遵守」の三条からなる国民教化活動の指針です。また、教育勅語は、明治23年に渙発された明治天皇の「お言葉」として、渙発以降、国民教育の指針とされてきたもので、本書は、この三条教則と教育勅語というふたつの世俗倫理に対する衍義書(解説書及び解釈書)の研究書です。筆者は、この分野の第一人者で『教育勅語関係資料』『三条教則衍義書資料集』の編纂に従事するなどの経歴をもち、永年に亘る研究成果を神道文化叢書として刊行しました。
【内容】
第一編 三条教則と仏教僧―仏教僧の三条教則衍義書―
第1章 教部省設置前における神道と仏教の相克
第2章 仏教僧の三条教則衍義書をめぐって
第3章 仏教僧による天神造化説批判
第二編 教育勅語と仏教僧―真宗僧の教育勅語衍義書―
第1章 多田賢住および赤松連城、第2章 東陽園月、第3章太田教尊、第4章寺田福寿、第5章土岐善静以上の教育勅語衍義書をめぐって論じ、補章として真宗僧による教育勅語衍義書の諸類型を示している。
第三編 教育勅語と宗教者―石門心学者とキリスト者の教育勅語衍義書―
第1章 明治期の石門心学の動向
第2章 石門心学者川尻宝岑の教育勅語衍義書をめぐって
第3章 キリスト者で唯一の教育勅語衍義書をめぐって
以上の三編からなる。
一般書籍として弘文堂より販売されています。(本体5,000円+税)
神道文化叢書第39輯「悠久の森―神宮の祭祀と歴史」音羽悟著を刊行。
本叢書の装丁を新たにしてから3冊目となる第39輯『神宮の森―神宮の祭祀と歴史』を平成26年6月30日に刊行致しました。
昨年平成25年は第六十二回神宮式年遷宮遷御の儀が滞りなく斎行され、国民の伊勢神宮への関心は最高潮に達した一年でした。その最中、本叢書を執筆したのは神宮の現任職員である音羽悟氏です。氏は今回の遷御の折、神宮司庁の広報課員として儀式説明を担当し、神宮を心より崇敬する氏ならではの司会とし好評を博しました。そんな音羽氏の著した本書を是非ご一読ください。
【内容紹介】
第一章 千古の流れ | 「悠久の森」を流れる五十鈴川が主題。そこに架かる橋、橋に関わる社、清流の歴史を語る |
第二章 遷宮諸祭の沿革 | 遷宮の沿革として遷宮に関わる諸祭の考証 |
第三章 神嘗祭と附属のお祭り | 神嘗祭の古儀について、神田の由来、御田祭の歴史など |
第四章 近世の神宮 | 近世における古儀復興の精神、御祓大麻の起源と沿革等 |
第五章 神宮の古文書 | 神宮の文書収蔵の変遷、重要文化財『天養記』ほか |
第六章 神社と環境 | 神宮、神社が抱える今日的な課題をあつかう |
以上
一般書として弘文堂より販売されています。
(本体4,800円+税)
神道文化叢書第38輯『明治初期の教化と神道』戸浪裕之=著
明治五年以来、神官、僧侶は「教導職」に任命され、「敬神愛国」「天理人道」「皇上奉戴・朝旨遵守」からなる「三条教則」を民衆に説く「大教宣布運動」(国民教化運動)に従事していたが、彼らがどのような「理念」やシステムのもと運動を展開したか、とくに「神官教導職」や真宗僧の動向に焦点をあて、具体的な資料を基に考察された意欲作である。
装丁も新たに神道文化叢書第37輯『近代祭式と六人部是香』を刊行
神道文化叢書37輯『近代祭式と六人部是香』は、従来の装丁を一新し、古典的な中にもモダンなデザインに装いを改め刊行いたしました。内容をご紹介します。
「明治維新以前は一定していなかった祭祀の方式である祭式が、近代において法制化・統一化されるに至った過程で、近世の国学者はどうかかわってきたか。そこで注目されるのが、民衆の立場から神職の祭祀の実践を促し、祭式諸である「神祭式」を表した幕末期の国学者六人部是香です。本書は、是香が祭式を構想していく経緯を詳細に追い、従来の研究では詳らかになっていなかったその構想が近代の法令「神社祭式」につながっていく過程を明らかにしていき、更にはその祭式の内容を比較検討し、明治維新後の神社祭祀の祭式がどのような特質をもっているか、幕末期の平田派国学が近代の祭式にどのような影響を与えていたのかも分析した神道人必読の書です。」
神社新報(平成24年9月17日号)に書評が掲載されました。
一般販売は弘文堂より4200円で販売しています。
神道文化叢書第36輯『ささえあいの神道文化』の刊行
神道文化叢書第36輯『ささえあいの神道文化』を刊行しました。ご紹介します。
「【神社の底力】・・・神道は福祉で何ができるか。この書は問いかけています。
神道は、福祉事業とのかかわりが薄いと見られています。しかし、本当にそうだったのでしょうか。本書は、日本人の伝統的価値観に根ざす[支え合い]をキーワードとして神社の福祉的役割を見直し、[ささえあいの神道文化]の可能性を探っています。伝統的神道文化と福祉という現代的社会課題をつなぐ視点を創造する意欲的研究書しいえます。」
神社新報(平成23年8月29日号)に書評が掲載されました。
一般販売は弘文堂より定価4200円で販売しています。
神道文化叢書第35輯 『日本の護符文化』の刊行
本会発行の神道文化叢書第35輯『日本の護符文化』のご紹介です。
「護符(おふだ)は日本の歴史の過去から現代に至るまで、全国各地の寺院・神社で、頒布され、社会と宗敎をもっとも身近に結びつけるものとして機能してきました。護符はこのような個別寺社と人々を結びつけるという機能ゆえに、各寺社の固有の信仰を反映し、多種多様で個性的な性格を持っています。しかし年が改まると新しいものに取り替えるため焼かれることが多く残ることが少ない性質を有するのです。幸いデザイン的にも興味深く多様であるため、明治以降来日した外国人の目をひき収集されたものがコレクションとして残されています。本書では、日本人の神観念や神仏関係の変遷を具体的に考える上で貴重な護符を通して、脈々と受け継がれてきた日本の宗敎文化の奥深い世界を探求していきます。」
一般販売は弘文堂より定価5040円で販売しています。
神道文化叢書第34輯『国学者の神信仰』が発刊
毎回好評を戴いております本会発行の学術叢書の神道文化叢書ですが、このたび、第34輯『国学者の神信仰』が発刊となりました。
著者は中野裕三氏(國學院大學研究開発推進機構研究開発推進センター講師)。
本居宣長はじめ、橘守部、鈴木重胤ら近世国学者の神信仰に現代の学問分野としての神道神学との関わりを見出そうとする意欲あふれる著作です。
国学の巨人たちをあらたな角度から捉えなおそうとする論の一つ一つに中野氏の労苦が窺えます。
一般販売は弘文堂から(神道文化叢書は非売品)4月下旬より書店にて。定価は4,400円です。
神道文化叢書33輯が発行されました
7月15日に神道文化叢書33輯が発行されました。
本叢書は非売品ですが、同じ書として、弘文堂より全国書店でも発売されております。
興味のある方は是非お求めください。
神道文化叢書第32輯の発行について
昨年7月に國學院大學研究開発推進機構研究開発推進センター講師の中山郁氏の『修験と神道のあいだ』という著書が神道文化叢書第32輯として出版されました。
本書は、御嶽修験を中心に神道との関わりも踏まえながら論じられた書で、長年のフィールドワークの成果から修験道研究に一石を投じたものです。
弘文堂からも出版されていますので是非書店にてお求めください。
中山郁著『修験と神道のあいだ』
第31輯 「祝詞の研究」
本澤雅史(皇學館大学教授・宇佐神社禰宜)
(弘文堂より発売中)
現在、皇學館大学にて古典、祝詞講読、神社祭式行事作法等を講じる著者が長年をかけて専門の祝詞に関する論考を纏め、さらに書き下ろしの論文を含め、一書にしたものである。これまで祝詞に関する書は多々あるが、ほとんどが祝詞作文に関わるもので、学術的な考察によるものはほとんどなく、特に一書として纏められたものは青木紀元氏(故人)のものが流布されているのみであった。そうした中にあって著者が近年の神道研究、古典研究などの学術的な成果を踏まえながら祝詞に関する論文を一書に纏めた価値は高い。
第30輯 「神仏と村景観の考古学」
笹生 衛(千葉県教育庁)(弘文堂より発売中)
現在、千葉県教育庁にて文化財担当の主任主事を務められている著者が、長年をかけて、神仏関係の考古資料から、古代、中世の景観の復元を試み、かつてのムラ社会における神仏と人々との暮らし、地域環境の変化について探る一書。
第29輯 「伊勢御師と旦那」
久田松和則(富松神社宮司)(弘文堂より発売中)
長崎県大村市にて現任の宮司として神勤奉仕に務める傍ら、大学卒業以来研究を積み重ねてきた伊勢の旦那衆と呼ばれた御師の九州における中世以降の伊勢御師の活躍とそれに伴う伊勢信仰の確立について詳細な史料の分析、数量化をもとに個々の論文を纏めた一書。
第28輯 「記紀神話の神学」
上田賢治(故人・國學院大學元学長)
戦後来、宗教心理学、神道神学研究の日本の第一人者として、また長年國學院大学にて教鞭をとり、学長をも務めた筆者(故人)が、生前、記紀神話の神学について纏めた一書。著者の遺作ともなったものであり、近世国学にも造詣の深かった著者の記紀観を窺い知ることのできる書。
第27輯 「近世出雲大社の基礎的研究」
西岡和彦(國學院大學専任講師)
近世の垂加神道の研究者でもある著者が、出雲大社をフィールドにこれまで古代ばかりに注目が集まっていた出雲大社関連の研究を近世期に焦点をあて、その基礎研究となる神学思想、祭神論、人物研究、神道史などの面から詳細に論じた書。
第26輯 「大国隆正の研究」
松浦光修(皇學館大学助教授)
幕末から明治維新期にかけて津和野派の国学者として明治前期の神祇行政に影響を及ぼした大国隆正の人物、思想とその活動について纏めた書。
第25輯 「平安時代の宮廷祭祀と神祇官人」
藤森 馨(国士舘大学教授)
これまでとかく等閑視されてきた平安時代の宮廷祭祀と神祇官人の問題について、伊勢の神宮の奉幣使などや白川神祇伯などにスポットをあて、史料を駆使しながら詳細に論じた書。
第24輯 「ハワイの神社史」 前田孝和(神社新報社総務部長)
第23輯 「戦後の社会変動と神社神道」 石井研士(國學院大學教授)
第22輯 「近代政教関係の基礎的研究」 新田 均(皇學館大学教授)
第21輯 「維新期天皇祭祀の研究」 武田秀章(國學院大學助教授)
第20輯 「神宮式年遷宮の歴史と祭儀」 中西正幸(國學院大學助教授)
第19輯 「伊勢神道の成立と展開」 高橋美由紀(東北福祉大学教授)
第18輯 「まつり伝承論」 茂木 栄(國學院大學助教授)
第17輯 「明治維新と国学者」 阪本是丸(國學院大學教授)
第16輯 「蘇るムラの神々」 櫻井治男(皇學館大学教授)
第15輯 「大嘗の祭り」 岡田莊司(國學院大學教授)
第14輯 「永世への祈り」 中西正幸
第13輯 「遷宮を巡る歴史」 茂木貞純(國學院大學助教授)
第12輯 「明治と昭和」 村松嘉津
第11輯 「お伊勢さま百話」 阪本是丸
第10輯 「お伊勢さまを讃えまつる」 西川元泰
第9輯 「日の丸」 安津素彦
第8輯 「イギリスの戴冠式」 蒲生俊仁
第7輯 「続神道百言」 岡田米夫
第6輯 「皇室の御敬神」 川出清彦
第5輯 「神社読本」 小野迪夫
第4輯 「神宮式年遷宮今昔物語」 岡田米夫
第3輯 「会津鑑」 千葉榮
第2輯 「大国隆正」 阪本健一
第1輯 「神道百言」 岡田米夫