座談会「旅と神道文化」

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先日、平成21年1月9日に機関誌『神道文化』第20・21合併号掲載の座談会を開催しました。

テーマは「旅と神道文化」

旅文化に造詣の深い5氏をお招きし、開催致しました。
座談会の参加者は以下の通り

神崎宣武(民俗学者・旅の文化研究所所長)
星野英紀(大正大学人間学部教授・大学院長・前日本宗教学会会長)
山中弘(筑波大学大学院人文社会学研究科教授)
板井正斉(皇學館大学社会福祉学部専任講師)

司会

櫻井治男(皇學館大学社会福祉学部教授)

オブザーバー

松山文彦(本会専務理事・東京大神宮宮司)

なお、この座談会の模様は4月頃発刊予定の機関誌『神道文化』に掲載の予定です。

座談会の趣旨

 本会では機関誌『神道文化』を年一回発行しているが、本年度は第二〇号、二一号の合併号として発刊することとなった。そのため、今回は座談会を二本立てで企画し、第一弾は「生命倫理と神道を考える」(二十年九月四日)、第二弾を「旅と神道文化」(二十一年一月九日)として実施した。

 機関誌に掲載する座談会は、創刊時より現在に至るまで、古今東西、様々な文化事象、歴史事象を「神道文化」というキーワードで捉え直していくというもので、第一線で活躍する研究者や関連方面に造詣の深い神職、専門家の方々をお招きして開催してきた経緯を持つ。機関誌では単に論文を頂戴し掲載するのみでなく、多彩な分野の方々に呼びかけ、座談会形式で様々な視点から御発題、発言を戴くことで、神社界へ新しい知見を広めていく上での一助ともなってきた。

 また、昨年の座談会では「文明開化と神道文化」というテーマで幕末、明治維新期から大正期に至るまでの神社、神道と欧米文化の流入との関わりを横浜・神戸・伊勢という三つの港町を中心に考えてみたが、座談会の中で一つ注目する話題として、文明開化の流れのなかで、鉄道事業や道路の進捗に伴う社寺への参詣ということが大きな焦点として挙げられた。そこで、今回は「旅」をキーワードにして神道文化との関わりを探ってみるという趣旨のもと、今回の座談会を実施することとなった。

 古より、日本人は旅に対する憧れが強く、さまざまな参詣記や絵図、近代に入ってからは写真記や旅行記などが出版され、ここ数年は、テレビ等メディアでも毎日のように旅番組や旅に関する記事が紹介、特集されているような状況にある。

 近年、特にテレビでは聖地の旅、巡礼、心の旅というようなテーマの番組も増加しており、四国の八十八箇所巡礼をはじめ、各地の霊場、世界遺産ともなったことで観光再生をはたした熊野古道と熊野三山など、社寺を中心とした信仰の道への関心が非常に高まっているともいえる状況にある。一方で昨年、政府では国土交通省の外局として観光庁が発足し、国内経済の発展のため、国際観光、国内観光の充実が叫ばれている。今回、旅文化に造詣の深い研究者の方々を招き、旅と神道文化をテーマに据えた座談会を行うことで、我国の社寺と旅との関わりが聊かでも明らかになればと考えている。 (財団法人神道文化会事務局)