財団法人神道文化会は、平成24年7月2日付けで、一般財団法人神道文化会に移行し以降下記のように活動を展開して居ります。
神道文化会は戦後GHQの占領下にあった昭和22年9月にその産声をあげました。当時は全国の神社はその前途をも予想することができない状況にあり、今は亡き先人たちの熱意と悲願により幾多の困難を乗り越えて本会の財団法人としての設立となりました。
設立の提唱者は初代の神社本庁の事務総長でもあった宮川宗徳氏であり、氏は戦前期には内務省、文部省の要職、東京都では都教育主事、保健局長などを務めた後に、東京都の小石川区、牛込区、下谷区長を歴任、後には東京市会議員として東京都政において活躍された方でした。設立にあたっては都内をはじめ全国の多くの神社関係者の協力を得て実現いたしました。
戦後十年を経て本会が着手した事業の一つとしては、日本人の心の故郷ともいうべき九州地方の伝統文化の一端でもある『高千穂・阿蘇』の古代文化調査並びにその調査報告の出版事業でした。
以降、本会では学術調査研究の報告書的な性格を持つ、『明治維新 神道百年史』全5冊、『天照大御神』全4冊、『戦後神道論文選集』、『神道と現代』(上下2巻)などの出版・刊行、また戦前の神社の写真を纏めた『近代の神社景観』、また神道の基礎的な知識を知る上でかかせない辞書ともなっている『神道要語集』(全5冊:國學院大學日本文化研究所編)の刊行を行うとともにその事業は、現在神道学、宗教学などの若手研究者の研究の集大成ともいえる神道文化叢書(現在第48輯目)の刊行へと引き継がれています。
神道文化叢書が現在のような学術研究書としてのスタイルとなった第16輯(『蘇るムラの神々』)以降、30数冊の研究書が出版されていますが、その叢書をもとに17人の研究者がそれぞれ博士の学位を取得されており、まさに本叢書が若手研究者の登竜門的な書としての地位を確立しつつあります。
また本会の中心的な事業でもある神道文化功労者の表彰も令和5年で55回を数えました。現在ではその名称が神道文化奨励賞から神道文化賞と変わっていますが、この賞が伝統文化の伝承に寄与する団体へ贈られる神道芸能普及費とともに各神社、団体の励みとなっています。諸事業を推進しつつ年数を重ねることができたのも皆様のご厚情の賜物と御礼申し上げる次第です。
平成元年に機関誌『神道文化』を発刊してより35年余りが経ち、毎回神社関係者による随想や小論文、座談会などを掲載し、ご好評をいただいております。
また本会では平成11年に「自然と神道文化」の公開講演会を実施してより、毎回多数の参加をいただき、自然にみられる日本人の思想や行動、そこから発生する文化の問題から我々が未来に向けて歩むべき方向性を示すものとして多くの方々から評価を戴きました。そして、その成果を3冊の報告書にまとめ出版いたしました。これを区切りとして、平成21年には「相撲と神道文化」、22年「雅楽と神道文化」、23年「酒と神道文化」、24年「暦と神道文化」、25年「お伊勢まいりと神道文化」、26年「神社建築と神道文化」、27年「占いと神道文化」、28年「神話と神道文化」、29年「和歌と神道文化」、30年「鏡と神道文化」というように、毎年テーマを選び、日本の文化事象と神道文化の関わりを提示し、講演会を開催しております。また令和元年は新天皇ご即位をお祝いし「皇位継承儀礼を考える」をテーマとし開催しましたが、110名を超える参加者がありました。ご承知のように令和2年、3年は新型コロナウィルス感染予防のため、リモート形式による講演会開催となりました。令和2年は「日本書紀と神道文化」、令和3年には「神饌と神道文化−神々への供物を考える」をホームページ上に掲載し、ご好評をいただきました。
令和4年も、「刀剣と神道文化」と題し、本会のWebサイトに動画掲載いたしましたが、今回はYouTubeを用いた生配信形式での開催となりました。講演録を作成し、会員には配布、ご希望の方には500円にてお頒ちしております。又、令和5年度は「装束と神道文化」をテーマにリモート開催をいたしました。(令和6年3月発行)
令和6年は5年振りに「平安時代と神道文化」と題し國學院大學を会場に開催することができました。
今後は設立80周年に向け、新事業にも取り組んで参りたいと存じます。引き続き何卒宜しくお願い申し上げます。