平成27年度被表彰者名

dsc_0033dsc_0116dsc05105

(1)湯澤 貞 殿(埼玉県)

 氏は、平成16年靖國神社宮司を定年により退き、以後靖國会総代などを務めながら、忠霊の慰霊、顕彰、啓蒙活動に尽力し、終戦70年の昨年『靖國神社のみたまに仕えて』を上梓。

 本書は、氏の47年に及ぶ神明奉仕の半生が綴られ、わけても所謂「靖國神社問題」についての記述は、当事者としての信念や具体的対処などが述べられ貴重な証言となっている。

 また、俳人としても活動し靖國神社退職に際して句集『散る桜』を出版するなど、神道文化に貢献。

(2)雅楽道友会殿(東京都)

 雅楽道友会は都内神社での祭典奉仕はもとより、北は北海道函館から南は長崎市まで、その祭典奉仕・演奏会の助勢など活動が広範囲に及び内容も多岐に亘る。近年では東日本大震災の被災神社で継承されてきた伝統芸能の支援活動も行うなど、これまで五十年にわたり民間への雅楽の普及と技術向上に果たした役割は大きい。

(3)和歌山県女子神職会海南海草支部殿(和歌山県)

 同支部は、平成20年より独自の事業として神話紙芝居を継続して製作・上演している。この事業には支部全員で取り組み、毎年、支部内神社の夏祭りや子供が集まる機会、小学校での上演なども7回以上となり、子供やその父兄を対象に日本文化の伝承に努めてきた。現在、支部外の神社からの依頼も受け、工夫を凝らした活動に取り組んでいる。

(4)永崎ひまる殿(東京都)

 氏は、絵馬師として多くの神社に「大絵馬」を奉納するなど敬神の念が篤く、また日本文化の「和紙」の普及にも尽力、和紙絵馬製作などで活躍している。甲斐國一宮淺間神社他に大絵馬奉納をするなどの傍らワークショップを開催し、絵馬の歴史、意義、作り方などについて教化・普及に尽力している。

(5)正院町雅楽会殿(石川県)

 石川県神社庁珠洲支部にある正院町雅楽会は、多年に亘り活動拠点の羽黒神社及び珠洲支部主催の祭典等に演奏奉仕しながら、青少年の奏者育成にも尽力している。また、学校及び老人施設等の演奏活動にも積極的に取り組んでいる。現会員は、宮司、成人、青少年で構成され、毎年練習会を開催し、恒例祭や支部事業等に演奏奉納し、活動が評価される。

(6)加藤三千雄殿(石川県)

 氏は、昨年、本居宣長を訪ね、私塾鈴屋の門人となった祖先、酒垂神社第十二代宮司加藤吉彦が著した書をもとに『千尋の浜草と藤のかき葉―酒垂神社十二代宮司加藤吉彦の生涯―本居宣長門人―』を上梓した。氏は、古文書の専門家ではないが、先祖の事績を紹介するとの一心で著した本書は、当時の神職の活動を垣間見ることができ、史料的にも価値の高いものとして評価される。

以上6件

平成27年度神道芸能普及費受給者名

(1)秋津住吉神社百石踊西戸保存会殿(兵庫県)

 住吉神社では、氏子地区十一ケ村のうち九ケ村に、室町後期頃の発祥とされる旱魃時のみに雨乞いを祈願し奉納する百石踊りが伝わっている。百石踊りは、定期的に演じられることはなく、生え抜きの長男のみ踊ることが許され、記録も一切認められない厳しい決め事があり、幻の神事芸能として歴史に刻まれてきた。しかしそのような中、平成24年より定期的に秋津百石踊りを演じるこことなり、その伝承に力を注いでいる。

(2)三島伶人会殿(新潟県)

 同会は新潟県神社庁管内の伶人が集い、技能の習得・向上や後継者の育成を目的として昭和43年組織された。主な活動として鎮守神社の春秋例大祭にて奏楽や神饌献饌の補助、里神楽等の神楽舞を奉納するとともに、2年ほど前からは毎年2月に各地区の高齢者福祉施設を慰問し公演を行っている。また、第六十二回神宮式年遷宮では奉祝行事にて里神楽を奉納するなど、地区内外にて幅広く活動し、伝統芸能護持継承に尽力。

(3)宮城野獅子舞保存会殿(神奈川県)

同保存会は、箱根町の宮城野に伝承されている伊勢大神楽の獅子舞を継承する団体である。獅子が湯立をするという全国でも希少な伝統神事芸能で江戸時代の安永5年(1776)に甲州郡内吉田村の萱沼儀兵衛により、仙石原並びに宮城野の里に伝えられたのが始まりと明確に書見され、爾来240年の長きに亘り、氏子青年の手によって厳格な戒律と精進潔斎を尽くす行法・作法等が厳重に継承・継続されている。

(4)仙石原神楽保存会殿(神奈川県)

 箱根町の仙石原に伝承されている伊勢神楽系の獅子舞を継承する団体であり、同上の宮城野獅子舞保存会と歴史を同じくする。同上保存会と合わせ「箱根湯立獅子舞保存会」と称する。

(5)宅宮神社の神踊り保存会殿(徳島県)

 宅宮神社の神踊りは、古く平安時代末頃から始まったと伝えられ、毎年8月15日に五穀豊穣、悪病退散を祈願して氏子馬組が輪番で古式豊かに奉納されてきた。この踊りは、古風を今に伝え一度も中断することなく続いてきたことに価値がある。戦後間もない昭和26年全氏子をもって構成される保存会が発足し、氏子が町内の十二の地区ごとにつくる「馬組」が毎年持ち回りで奉納している。

(6)日吉神社太田獅子舞保存会殿(石川県)

 太田町の獅子舞は、日吉神社の祭礼において、神事の「露祓行事」として、古くより伝承され現在に至る。時代の流れとともに地域の少子化が進み、断絶が危惧されたが、昭和61年保存会を結成し、獅子舞の次世代への継承、技術の向上、地域の活性化に取り組んでいる。また昨今は地域巳ならず他の地域神社においても慶賀祭・奉祝祭などで獅子舞の演舞を行うなど活動範囲をひろげている。

(7)住吉神社御神事太鼓保存会殿(石川県)

 能登住吉神社は、仁徳天皇の御代、奉斎されたとあり、古く大宮と称された。御神事大太鼓は別名大宮太鼓とも称され神殿に祀られた奇面をつけ神のしもべと化した者たちが日本海に立ちはだかる荒々しい岸壁のごとく打ち鳴らす音は、近隣諸国のものまで魅了し、昔も今も氏子の誇りとなっている。

神道芸能普及費支給(別枠)

 《本年度支給対象者》

(1)夏井大梵天神楽保存会殿(岩手県)

 同保存会は、昭和52年に結成されたが、歴史は古く、神楽を継承してきた家の伝承によると先祖が山伏修験者で、山伏神楽の系統であるという。一時中断されたが、山伏神楽の特徴の一つである権現による春祈祷、火伏祈祷などの儀礼的な要素が大切に継承されている。

 平成6年からは小学校高学年、中学生への指導なども行っている。

(2)山根神楽殿(岩手県)

 山根神楽は、昭和50年、久慈市山根町内各地区に伝わる神楽の衰退により保持継承のために合同の神楽団体となり設立された。現在は山根町唯一の神楽団体として、毎年久慈市及び近隣町村の祭典に神楽奉納おこなうなど、普及に努力している。

以上